cafe螢明舎のコーヒーは鍋で煮詰めた味なのか!

「こちらのコーヒーは作り置いて何度も煮返すのですか・・・」

カウンターのお客様が思いつめたように質問されました
「作り置きの味」とはいかにもイメージがよろしくありません
ましてや何度も煮返すなんて・・・

「螢明舎でコーヒーとケーキをいただきながら過ごす時間が大好き」とおっしゃるお客様
コーヒーの感想をうかがうと「美味しいから来るんです」とうれしいお言葉です

しかし、「ほんとのコーヒーの味って良く解らないし・・・」
ましてや冒頭の風評に触れ、疑いを持って
「そんな気がしてしまうのです」と苦言を頂戴しました

さぞや聞きづらく、勇気の要るご発言に深くお礼を申し上げ
感謝の気持ちをこめて、一連の作業を見ていただけないか、と提案させてもらいました

「時間は大丈夫ですか?」「今日は休みなので大丈夫です、でも欲しい本があるので・・・」
「お買い物が済んだらで結構ですので、お帰りにまたご来店くださいませんか」とお願いし
お約束を頂きました、もちろん、御代は頂戴しません

まずは、お好きとおっしゃるケア・ブレンドの抽出を5杯取りで行い
抽出直後を飲んでいただきました
「あっさりした軽い印象ですね」とお客様の感想です

「このコーヒーはお帰りになるまで手をつけづにおいておきます」ので・・・

本当に戻ってきてくれるだろうか、と心配をよそに
夕方頃、お客様はご来店くださいました
半分ほっとしながら「ありがとうございます!」です(笑)

最初のご来店がお昼過ぎだったので4時間ぐらい経過していたでしょうか

イブリックに一人前を入れ、加熱、サーブさせて頂きました
「え!?まろやかでチョコレートみたい!」「味も香りも深いです!」
・・・と、ご自身の表現で感想を述べてくださいました

抽出直後からの味の変化をご確認いただきながら
なぜ抽出後、いったんポットで寝かせるのか(デキャンタ)
いかに必要な工程であるかを説明させていただきました

実際の螢明舎では5杯取り、10杯取り、20杯取りと
2時間程度で消費される分量を、その日のお客様を想定しながら抽出しますが
都内、知り合いの或る有名店では、必ず一晩寝かせる方法をとっているそうです

同じ道筋を歩む仲間でも方法論は色々です
もちろん、美味しいコーヒーをお客様にお届けしたい愛情のなせる業
エイジング・ビーンズとネル・ドリップのなせる業なんです

冒頭の風評に対し、不徳をお詫びしながらも私に付き合ってくださり
「こういったお客様が螢明舎を支えてくださっているのだな・・・」
と感動させて頂いた出来事でした

と同時に、このような風評こそ現代社会の抱える病巣の一端、「心の闇」ではないか
「強い固定観念に縛られている何か」は悲しいばかりと感じないわけにはゆきませんでした

私は、「心の豊かさ」こそがコーヒーの味であり
日々の豊かさは、多様な味わいを演出してくれるのではと信じて已みません

「味」とは情緒であり、そこに絶対値などないからです

cafe螢明舎は、一杯のコーヒーをより美味しく感じていただく為に設えた空間です
村上春樹さんにはケア・ブレンドを誉めていただきました
星野道夫さんは毎日のようにロア・ブレンドを2杯飲んでいただきました

開店以来、ケア一筋、ロア一筋のお客様も沢山いらっしゃいます
何年か振りにご来店され、変わらない味や空間に
懐かしそうにご自身の歴史を語ってくださるお客様もいらっしゃいます

こういったお客様の信頼を損なうような不徳を、深くお詫びしなければ成りません

そして、私も、スタッフも仕事には真剣です、当然の価値観です
珈琲はもちろん、お菓子もキッシュもサンドウィッチも
「美味しい」と喜んでいただくために一切の手は抜きません

そして

cafe螢明舎は、生活観をかなぐり捨て、遊びを演出してゆきたいのです
「螢明舎には、螢明舎の文化がお好きなお客様が来てくださればいい」

のです。

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