刻まれた白ワイン ①

旅の瞬間はいつでも記録に残したいことばかりです
とくにヨーロッパではあらゆる刹那が刺激的でいけません

ある時、気がつくとシャッターを押している自分がいました
接点はファインダーの中ばかり、切り取られた世界に埋没しておりました

カメラはやめよう・・・

すべては五感に委ねるべきであり、六感に従って行動しよう
そう決めたのです。

サン・ピエトロ大聖堂を正面に、広げる翼の左側をテレベ河の方向に歩いていった
強烈な日差しと乾燥、石畳からの照り返しが体力を奪う
行き当たりばったりは大変である

いったいどのくらい歩いたのであろうか
古そうな町並みに出っくわした、いや古いというよりは
体裁のひとつも感じられない日常に出っくわしてしまった

路地には洗濯物がはためき、シエスタなのか小さな広場にも人気はない
カフェの日傘は傾き、散らかった椅子が
喧騒の観光エリアでは無い事をはっきりと教えてくれている

そうか!ソフィアローレンがいるローマなんだ

洗い晒しのよれたワンピース、乱れた髪を無造作に掻き揚げながら
走り去る子供を大声で叱り、出かけようとする男も容赦なくナジリる

「あんた!今日はまっすぐ帰ってくるんだよ!」
「夜だってロクな仕事をしやしないんだから!!」
尻をバシッと叩かれ、たからかな笑い声が聞こえてくる・・・そんな風景

オードリー・ヘップバーンではないローマの風景なんだ。

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