お菓子について

cafe螢明舎では、パン以外のすべての食材を
自家製としなければいけませんでした
それは、まず珈琲ありきだからです
オールドビーンズを扱う職人として
珈琲以外のことに手を出すことは相当はばかられましたが
ケーキ屋さんからのデリバリーでは濃厚な珈琲に
負けない存在感を求めることはできず
当時の珈琲屋の仕事としてはかなり難しい、
実験的な仕事として悪戦苦闘いたしました
もちろん「珈琲のお供だから…」と自分を納得させる事が
一番大変だったのは秘密です(笑)

結果として、珈琲を愛する焼き菓子の専門家に出会えたことや
自然養鶏農家の卵に出会えたこと
なにより図体ばかりでかいが
まったく前時代的ガス釜(笑)に出会えたことが
cafe螢明舎を焼き菓子へと導いてくれたのではと考えております
また、当時お菓子造りに携わってくれた
スタッフ達の努力も忘れることはできません

後年、ヨーロッパ南部を旅する楽しみを覚え
作ってきたお菓子や食材のルーツに出会うことができたのですが
濃厚な珈琲と焼き菓子の関係に深く納得し
食文化として自然な流れを感じることができたのは幸いでした

見た目は地味で和菓子の様でもあるのですが
珈琲と共鳴しあい絶妙なマリアージュに
仕上がってくれたのではと考えます…